第2話 イオからのチェイサー
【場面:地球・とあるクラブ/夜】
(効果音:にぎやかな音楽、グラスの音、笑い声)
ゾナは酒と女に囲まれ、クラブで豪遊していた。
(奥の控室)
支配人「……あの野郎、金持ってるのか?」
支配人「一度、清算するよう言ってこい。」
ボーイ「分かりました。」
(ボーイがゾナのテーブルに向かう)
ボーイ「お客さん、一度料金を清算していただきたいのですが。」
ゾナ「料金? 何のことだ?」
ボーイ「冗談はやめてくださいよ。15万円になります。」
ゾナ「ほぅ、金か。紙切れなら持ってるがな。」
(ボーイがホール奥を振り返り、合図)
(効果音:ゴツゴツと足音)
用心棒たちが現れる。
用心棒1「兄ちゃん、ちょっと裏まで来てもらおうか。」
【場面:裏の倉庫】
用心棒2「金がなけりゃ、痛い目にあうが……それでもいいのか?」
ゾナ「金? この紙切れのことか。」
(ゾナがポケットから札束を出す)
用心棒1「おっ、あるじゃねぇか! 最初から出せばよかったんだよ、兄ちゃん。」
ゾナ「フフフ……そんな金が欲しいとは。哀れな動物だな。ワハハハ!」
用心棒2「この野郎……ナメやがって!」
(効果音:ブーン!)
用心棒2が殴りかかるが――
ゾナの右手が静かに動いた。
(効果音:ニョロニョロ…)
用心棒2「ぐあああぁっ!」
用心棒1「どうした!?」
見ると、殴りかかった男の右手が――蛇に変わっていた!
用心棒2「わ、助けてくれ! なんだこれぇっ!」
(効果音:ガブッ!)
蛇が自分の左手に噛みつく。
用心棒2「いってぇぇっ! なんとかしてくれ!」
(用心棒1が怒って突進)
用心棒1「ぶっ殺すぞ、この野郎!」
ゾナ(左手をスッと構える)
(効果音:ズドーン!)
用心棒1が真後ろに吹っ飛ぶ!
(効果音:ガラガラッ! ガシャンッ!)
ビール瓶の箱が砕け散る。
ゾナ「命が惜しければ、無駄な真似はよせ。」
【ナレーション】
ゾナは涼しい顔でクラブを後にした。
ゾナ「さてと……どこかで寝場所を探すか。」
【場面:道路/夜】
(効果音:車が近づく)
タクシー運転手「お客さん、どこまで?」
ゾナ「どこか泊まれる場所へ。」
(ゾナが札束を見せる)
タクシー運転手「プリンス国際ホテルでよろしいですか?」
ゾナ「ああ。頼む。」
【場面:ホテル前】
ゾナ「これで足りるか?」
(札束を運転手に手渡す)
タクシー運転手「お、お客さん! これは出しすぎですよ! 一枚でおつりが……」
ゾナ「いいから取っておけ。」
(運転手、驚いた顔で深く頭を下げる)
タクシー運転手「ありがとうございます……では、遠慮なく!」
【場面:ホテル室内】
(効果音:ドサッ)
ゾナはベッドに倒れ込む。アルコールのせいで、すぐに眠りに落ちていった――
【場面:宇宙空間/タイムスリップ航行中】
(効果音:時空転送音)
【ナレーション】
そのころ――
イオの捜査官、リンバとゴンズはタイムトンネルを抜け、銀河第三惑星・地球に到着していた。
リンバ「……ここが地球か。臭い星だな。」
ゴンズ「文明が3000年は遅れてるからな。」
リンバ「さっさと囚人を逮捕して帰ろうぜ。」
ゴンズ「む、顔データが転送されてきた。」
リンバ「こいつか……何か特技は?」
ゴンズ「おい、これは厄介だぞ。」
リンバ「なんだ?」
ゴンズ「こいつ、“4D”の使い手らしい。」
リンバ「4Dマンか……チッ、面倒な奴だな。」
ゴンズ「だが、4Dなら電磁波で探知できる。案外早く見つかるかもな。」
【ナレーション】
ふたりの捜査官は、地球の町を見下ろしながら、ひとつ深く息を吐いた――。
(効果音:風の音、遠くに見えるネオンの輝き)
【次回予告】
ゾナの異能力「4D」の正体とは?
捜査官たちとの接触は目前――