第8話 クロノ・ソリスト
(※“息を止めている間、時間を止められる”能力者)
【場面:高速道路】
(効果音:ウーウーウー/パトカーのサイレン)
警察のパトカーが、猛スピードでゾナの乗るスポーツカーに近づいた――その瞬間。
警官1「おおっ!? こんなバカな……!」
スポーツカーが空中に浮き始めた。
警官2「……俺たち、夢でも見てるのか……信じられん」
目の前で浮遊し、空を飛び始める車に、警官たちはただ呆然とするしかなかった。
警官1「こんなこと……有り得ない。何も見なかったことにしよう」
警官2「そうですね。見間違いです」
(効果音:キュルルル/パトカーのUターン)
警官「帰ろう……もう、所轄に戻ろう」
ゾナ「フフフ……俺たちの星では空飛ぶ車など当たり前。だがこの星では――幻だな。ワハハハ!」
ゾナは笑いながら空中飛行を楽しんでいた。
【場面:公園跡地】
銀河連邦の捜査官・マジリアが、以前ゾナとダーク兄弟が戦った場所へ到着。
マジリア「……ムゥ。ダーク兄弟の痕跡……間違いない」
(効果音:ピッ/追跡装置起動)
マジリアは腰の装置から〈銀河チェス追尾装置〉を展開し、モア2衛星から信号を受信。
モア2(通信)「現在、ダーク兄弟は“岩手県”に潜伏中と推定」
マジリア「了解。すぐに向かう」
(効果音:ボォーン!)
上空に銀河連邦の一人乗り小型宇宙船が出現し、マジリアを吸い上げる。
マジリア「目的地:岩手、直行!」
(効果音:ブォォォン!)
30秒後、マジリアの船は岩手県上空に到達。
マジリア「さて……スキャン開始」
(効果音:ピピピ……)
マジリア「……? おかしい。反応がまったくない」
再びモア2と通信をとる。
モア2(通信)「間違いなく、現地に居る。地形の影響で反応が薄いようだ」
【場面:鍾乳洞・龍泉洞内部】
ダーク兄弟が洞窟の奥に身を潜めている。
ダーク弟「兄貴、寒いよここ……」
ダーク兄「この寒さも作戦のうちだ。洞窟の中なら、連邦の探査波は届かん」
ダーク弟「すげぇな兄貴。だけど、ずっとここにはいられない。脱出できるかな?」
ダーク兄「宇宙ギャング“ゾンバ一味”に連絡して、救出してもらうしかない。だが……この中じゃ通信が無理だ」
ダーク弟「じゃあ、外に出て……?」
ダーク兄「ちょっとだけな。……よし、俺が行く」
兄は洞窟の外へ出て、火星裏側に潜伏するゾンバ一味・船長グテグテキラーへ通信を開始。
【場面:上空・宇宙船内】
マジリア「……来た。通信信号……この位置だ!」
(効果音:ギュイイイィィン!/上空旋回)
マジリア「考えたな……鍾乳洞とはな」
【場面:鍾乳洞入り口】
(効果音:ゴォォォン……/宇宙船下降)
マジリア、地上に降り立つ。
マジリア「……ダーク兄弟。銀河連邦の名において、お前たちを逮捕する! 出てこい!」
ダーク弟「兄貴、バレた!」
ダーク兄「慌てるな。奴を洞窟の奥へ誘導しろ。アンテイダストを吹きかけて、老化させてやれ!」
(場面:洞窟内)
マジリア「寒いな……予想以上だ……」
(レザー銃を構えながら進む)
マジリア「ダーク兄弟、私は銀河連邦の捜査官マジリアだ! 無駄な抵抗はやめろ!」
(効果音:ドゴォォォン!)
岩陰からバンガードバズーカーが火を吹き、洞窟の壁が崩れる。
マジリア「――無駄な抵抗だ!」
ダーク弟「うるせぇ! 貴様はここで終わりだァッ!」
(効果音:ブォォォ!/再び発射)
マジリアは攻撃を回避しながら、ダーク兄弟に近づく。
その瞬間――
(効果音:シューーー/アンテイダスト噴霧)
マジリア「グッ……しまった……っ!」
【ナレーション】
洞窟に響く叫び――
“老化の霧”アンテイダストの直撃を受けたマジリアの運命は?
そして、ゾナを追う“時間を止める男”は……どこに?
【次回予告】
迫りくるクロノ・ソリスト“クラッシャー・クロック”。
老化の危機に瀕するマジリアを救えるか!?
ゾナ、ダーク兄弟、連邦の追跡網――すべてが交錯する、戦慄の展開!